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遺産相続トラブルの多くは、遺言書がなかったために起きています。
遺言書がない場合の遺産相続の分割には法定相続人の全員の合意を要しますが、各相続人はそれぞれ事情を抱え、円滑に分割協議が進まないこともあります。
さらに、このような遺産相続トラブルをきっかけに、相続人間で紛争となるといった不幸な結果をまねくこともあります。
遺産相続トラブルで、当事者間の分割協議が整わない場合、最終的には長期間にわたる裁判所等の手続きを経て、法定相続分に従って分割されると思われます。しかし、遺産相続トラブルによる法定相続分に従った分割が必ずしも相続人間において公平な遺産相続の結果とは限りません。
そこで、遺産相続トラブルを防ぐため、遺言書で遺産相続分及び分割方法を指定するなどすれば、相続人間の真の公平をはかり、また遺産分割協議に関わる相続人の労力を省き、さらに相続人間の紛争を未然に防ぐことができます。
遺産相続トラブルを防ぐための遺言には民法で定められた一定の方式が要求されます。
(1)自筆証書遺言遺言者が自分で書く遺言ですが、書き方が法律で定められており、書き方を誤ると遺言の法的効力が認められません。また、遺言者死亡の後、裁判所へ遺言書の検認申立をしなければならず、検認を経なければ相続登記もできません。遺産相続トラブルをおこさないためにも気をつけたいところです。
(2)公正証書遺言遺言者の口述を、公証人に公正証書にしてもらうものです。
公証人への費用(数万円~)支払と証人二人の立会いが必要ですが、裁判所への検認申立は不要で、検認なしで相続登記もできます。
また、公正証書原本は公証役場に保管されますので、遺産相続トラブルを防ぎ、安全確実といえます。
私ども事務所では遺産相続トラブル回避のため、行政書士の業務(「権利義務に関する書類の作成及びその相談業務」)の一環として遺言書作成のサポートを行っております。
人が亡くなりますと、財産、債務の承継(相続)が生じそれにまつわる手続きが必要となります。死亡届けの提出から始まり、埋葬許可申請、年金や国民健康保険等に関する手続、生命保険の手続、郵便局や銀行に関する手続、税金の手続、登記の手続等です。
不動産の所有者が亡くなった場合、その所有権が相続人に相続されます。登記的には、相続によって、登記上の所有者から相続人に所有権が移転されたということになります。そこで、相続人が所有権を相続したことを公示するために所有権移転の登記をするのですが、これを相続登記とよんでいます。
相続登記は義務ではありませんので、しなくてもかまいません。なので、期限もありません。但し、遺産相続トラブル等に巻き込まれぬよう、相続人の権利を守るために、しておいたほうがいいでしょう。一方、相続税の申告は期限がありますので、注意して下さい。
遺産相続トラブルを防ぐため、相続登記をするときは、「どの不動産を誰が相続するか」が決まっていなければなりません。そのためには、事前に「相続人の特定」と「遺産の分配」をしておく必要があります。
(1)相続人の特定亡くなった人(被相続人)の相続人は、次のとおりとなります。なお、配偶者は常に相続人です。
相続人 | |
第一順位 | 配偶者&子供(直系卑属) |
第二順位 | 配偶者&親(直系尊属) |
第三順位 | 配偶者&兄弟姉妹 |
被相続人に子供がいた場合は、子供が相続人になります。また。子供が先に亡くなっていた場合、その子供に子供(つまり、被相続人の孫)がいれば、孫が相続人になります。これを、代襲(だいしゅう)相続といいます。孫も先に死んでいた場合で、ひ孫がいれば、ひ孫が相続人となります。
被相続人に子供がいない場合、次に、被相続人の親が相続人となります。親が被相続人より先に死んでいた場合、その親に親(つまり、被相続人の祖父母)がいれば、祖父母が代襲相続人となります。
被相続人に子供も親もいない場合は、被相続人の兄弟姉妹が相続人になります。兄弟姉妹が先に死んでいた場合、その子供(つまり、被相続人のおい・めい)が代襲相続人になります。おい・めいが被相続人より先に死んでいた場合、おい・めいに子供がいても、その子供は相続人にはなりません(兄弟姉妹の代襲相続は1代限り)。
(2)遺産の分配相続人が特定したら、遺産相続トラブルなどを防ぐため、相続人の間で、被相続人の遺産を分配します。それにはまず、遺言があるかどうかを確かめ、遺言があればそれに従います。
遺言がなければ、相続人間で遺産分割協議を行います。遺産相続トラブルなどにより遺産分割協議が成立しない場合、家庭裁判所で遺産分割調停を行うこともできます。遺言はなく、遺産分割協議もしないのであれば、法定相続分に従って相続することになります。遺言→遺産分割→法定相続 ということです。
相続人 | ||
第一順位 | 配偶者 1/2 | 子供 1/2 |
第二順位 | 配偶者 2/3 | 直系尊属 1/3 |
第三順位 | 配偶者 3/4 | 兄弟姉妹 1/4 |
相続登記に必要な書類の主なものは、次のとおりです。
遺言 | 遺産分割協議 | 法定相続 | ||
被相続人の出生から死亡までの、戸籍謄本、除籍謄本、原戸籍謄本等 | ○ | ○ | ○ | 遺言の場合、死亡記載のある戸籍謄本等でよい |
被相続人の(除)住民票または(除)戸籍の附票 | ○ | ○ | ○ | 登記簿上の住所と死亡時の住所が違うとき、そのつながりをつける必要がある |
遺言書 | ○ | - | - | - |
遺産分割協議書 | - | ○ | - | 実印押印 |
印鑑証明書 | - | ○ | - | - |
相続人の戸籍謄本等 | ○ | ○ | ○ | - |
相続人の住民票または戸籍の附票 | ○ | ○ | ○ | - |
評価証明書 | ○ | ○ | ○ | 登録免許税算出のため |
被相続人の本籍地で戸籍謄本(戸籍事項証明書)をを取得します。亡くなった場合は、戸籍にバツ印が書かれたり(死亡によって除籍)、「除籍」と記載されます。つまり、亡くなれば、その人は死亡によって「除籍」されます。また、婚姻すれば、婚姻した者は親の戸籍から抜けます。この場合も「除籍」となります。このように、「戸籍に記載されているもの全員が除籍」となったものを除籍謄本といいます。
夫婦の戸籍があり、夫が死に妻が生きている場合は、戸籍謄本となります。つまり、戸籍上、一人でも生きている人がいれば、残りの人が除籍となっていても、それは「戸籍謄本」となります。
改製原戸籍とは戸籍法等の改正(昭和の戦後改正、及び平成6年度改正)により新しい戸籍ができた場合、その元となった戸籍を改製原戸籍といいます。
相続人は、被相続人のマイナス財産(借金等)も相続します。従って、明らかに借金の方が多い場合は、遺産相続トラブルのもととなりますので相続をしたくないというのが人情でしょう。そのような場合は、家庭裁判所で「相続放棄」の手続きを行います。
(2)限定承認相続するプラス財産とマイナス財産のどちらが多いかわからないときは、家庭裁判所に「限定承認」の手続をすることができます。 この場合、相続するプラス財産の中から相続した借金を支払えばよいことになります。限定承認は、相続人全員が共同して行わなければなりません。
相続放棄、限定承認は、相続を知ってから3ヶ月以内に行わなければなりません。
また、相続を承認したような場合等にも、相続放棄、限定承認はできません。