埼玉東松山市の司法書士大谷隆造事務所

相続・債務整理は埼玉の大谷司法書士行政書士事務所へ

TEL.0493-22-4510

〒355-0016 埼玉県東松山市材木町5-11

債務整理
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1 債務整理とは

複数の消費者金融等からの借金が膨れ上がった多重債務を解決する手続きを「債務整理」といっています。

専門家の介入と債権調査

債務整理に、司法書士等の専門家が介入する場合、各債権者に、受任通知(介入通知、債務整理開始通知)を送ります。 この場合、その通知によって、事故扱い(いわゆるブラックリスト)となります。

また、受任通知は、第1回目の取引履歴(計算書)開示依頼も兼ねています。債権者に対し、取引当初からの取引履歴の開示を求め、その履歴を利息制限法所定の利息に基づいて再計算をして(債権者によっては、引き直し計算をしてくるところもあります)、残高を特定していきます。その結果、過払いであったり、ゼロであったりもします。このようにして、債権調査を行っていきます。

そして、債権調査をした結果と本人の事情・返済原資等を考慮して、司法書士等の専門家がどのような手続を選択するかを決めていきます。

任意整理・自己破産・個人債務者再生・特定調停

多重債務を解決するための手続には、「任意整理」「自己破産」「個人債務者再生」「特定調停」があります。任意整理は裁判外の手続であり、自己破産、特定調停、個人債務者再生は、裁判上の手続です。

● 任意整理

利息制限法の利息に引き直して計算し、その残高を、例えば分割で返済していく等、相手方と話し合って借金を整理する方法。

●自己破産

破産と免責の手続によって、最終的に、借金を免除してもらう。裁判上の手続。

●個人債務者再生

一定の割合で元金をカットして、それを原則3年間の分割で返済していく。裁判上の手続。

●特定調停

任意整理の簡易裁判所バージョン。

債務整理の目的

債務整理の目的は、借金の解決です。しかし、その真の目的は、「借金の解決による生活の再建・更正」です。借金が解決したら、それで終わりということではありません。

多重債務者の場合、その多くは、借金が原因で生活が破綻しています。従って、借金を解決すれば、生活の再建や更正は、比較的容易になると思います。

手続き選択の目安

「どの手続をることが自分にとって一番いいのか」、債務整理は、この判断が非常に重要になってきます。これは、収入の有無や額、職業、生活の状況、家族構成、財産、債権者の数等を総合的に判断して決めていきます。

自己破産 借金の返済が不可能
任意整理 返済をしていくことが前提 利息制限法の利息に引き直して額を確定し、その額を3~5年間で返済していく
特定調停
個人債務者再生 利息制限法の利息に引き直して額を確定し、その確定した元本を一部カットし、その額を3(~5)年間で返済していく
返済の目安

1ヶ月あたり:収入-生活費=返済原資

1ヶ月あたりの返済原資で、借金を3年(長くて5年)で返済できそうならば、「返済が前提の手続」である任意整理や特定調停を考えることができる。これが返済できそうもなければ、個人債務者再生による元本カットをし、3(~5)年で支払えるかどうかを考える。それでも返済できそうもなければ、自己破産を選択せざるをえないこととなる。

手続の目安
自己破産 どう考えても、借金の返済は不可能
免責不許可事由がない
任意整理・特定調停 失いたくない財産があり、破産をしたくない
債権者数が少なく、取引期間が長い
個人債務者再生 失いたくない財産があり、破産をしたくない
債権者数が多く、取引期間が短い
メリットとデメリット

メリットとデメリットを簡単に比較してみます。下記はその一例であり、これが全てではありません。

種 類 メリット デメリット
自己破産 借金がゼロになる 不動産等の財産を失う
官報に掲載される
本籍地の破産者名簿に記載(但し、免責によって復権)
7年間の免責制限
破産者では就けない職業がある(但し、免責によって復権)
任意整理 裁判外の手続  相手が話し合いに応じない場合もある
利息制限法引き直し以上の減額は難しい
特定調停 自分でやりやすい 利息制限法引き直し以上の減額は難しい
費用が安い 債権者の数が多いと、結構大変
手続も比較的楽 調停が成立しない場合もある
不動産等の財産は失わない 調停調書等が債務名義になるので、支払を怠ったりすると、強制執行(給料差押等)をされる可能性もある
個人債務者再生 借金の元本を合法的にカットできる 費用が高い
手続が煩雑
不動産等の財産は失わない 官報に掲載される
小規模個人再生のみ、再生計画につき債権者による決議がある→否決されたら破産になることもある
預貯金口座に注意

債務整理を受任した場合、債務額を特定させるため、これ以降の返済をストップしてもらいます。この返済が、ATM等による振込みであれば、それを止めるだけで済みます。しかし、クレジット会社の場合に多いのですが、返済が預貯金口座からの引き落としによる場合は注意を要します。

口座引き落としの場合、その口座を空にしてもらいますが、その口座がカードの引き落としだけに使われていれば問題ありません。水道光熱費等の引き落としがあっても、その支払い方法を変えれば済みます。その口座が給料振込口座の場合は、給料振込口座を変更してもらうようになります。

口座のある銀行からローンをしている場合は、その銀行に受任通知を出すと、口座は凍結され、預金残高と借金を相殺されることとなります。しかも、その口座が給料振込口座でもありますと、口座が凍結されたことによって、給料を下ろせないということにもなりかねません(実際にありました)。

その口座が住宅ローンの引き落とし口座でもあると、口座は空にできないので、クレジット会社への引き落としも止めることができません。そのような場合は、口座のある銀行等と相談する必要があります。

2、利息について


元金  利息制限法
(上限)
   損害君 利息制限法を超過
~出資法以下
(グレーゾーン) 
  出資法(上限)
 10万円未満  年20% 利息の1.46倍まで
(平成12年6月1日前
の契約ならば利息の2倍まで)
  無効   年20%(これを超えたら罰則)
なお旧法は年29.2%(これを超えたら罰則)
10万円以上
100万円未満
 年18%
 100万円以上  年20%


 

破産・個人債務者再生に必要な書類
必要書類の例
収入を証する書面 2ヶ月分の給与明細書(家族全員のもの)
過去2年分の源泉徴収票
過去2年分の課税(非課税)証明書(家族全員のもの)
過去2年分の確定申告書の控
公的扶助の証明書(年金、生活保護、失業手当など)
住まい 賃貸借契約書、住宅使用許可書など
居住証明書、社宅証明書など
滞納税金など 滞納税金一覧表、滞納年金や滞納税金の督促状など
財産に関する書面 全ての預貯金通帳(2年分の取引が記載されているもの)
一括記帳されている場合は、その分の取引明細書が必要
生命保険などの保険証券、解約返戻金の計算書など
車検証または登録事項証明書、自動車・バイクの査定書
不動産の登記簿謄本、評価証明書、査定書
借金に関する書面 ATMの残高明細書、債権調査票、債権者からの郵便物など
その他 住民票・戸籍謄本
家計簿(2ヶ月分)

4、任意整理。

債権者と債務者の話し合い(私的和解・和解契約)によって借金を整理することを任意整理といいます。利息制限法所定の利息による引き直し計算を行った残高について、分割弁済(額や事情によっては一括弁済)をしていく話し合いを行います。裁判上の手続をとらずに、あくまでも話し合いにより解決をするので、特定調停では期待できないような長期に渡る分割返済も可能になるかもしれません。

従来、司法書士は任意整理はできませんでしたが、簡裁代理権の認定を受けた司法書士であれば、その権限の範囲内での任意整理が可能となりました。当事務所は、簡裁代理権の認定を受けておりますので、任意整理が可能です。

分割弁済の期間

分割弁済の期間は、3-5年と言われています。これは、自己破産をするときの目安でもあります。また、特定調停のときも3-5年の期間で調停を行います。更に、個人債務者再生の場合は、原則3年です(特別の事情があれば5年まで延長可能)。

5、自己破産


免責を得ることによって、借金を「ゼロ」にすることを目的とします。

返済能力がない(支払不能の)場合は、自己破産を行うこととなります。

原則として破産は、破産管財人が選任され、破産者の財産を債権者に平等に配分する手続を行うのですが、破産者に、債権者に配分する財産がない場合は、これが省略されます。

自己破産を選択できないようなケースとしては、次のようなことが考えられます。

  • 破産によるデメリットがある場合
  • 免責不許可事由がある場合
  • 自宅などの失いたくない財産がある場合
  • 資格制限がある場合

などなど

「免責」を得て借金をゼロにするためには、免責不許可事由がないことが前提となります。

※免責不許可事由の例(以下は例であり、免責不許可事由はほかにもあります)

  • 借入のほとんどがギャンブルや遊興費で、借金も多額であり、そのほとんどが返済されていない。
  • 詐欺によって多額の借入を行い、そのほとんどが返済されていない。
  • 過去7年以内に、一度、免責を受けている。
  • 裁判所の免責に関する調査協力義務違反
破産に対する誤解

破産手続において、確かにデメリットはありますが、誤解が伴うものもあります。その代表例は、次のようなものです。

(1)破産しても、戸籍や住民票に記載されることはありません。

但し、本籍地の市区町村で発行される身分証明書には破産者であることが記載されますが、これは免責を得れば、復権します(通常、この身分証明書が必要になるようなときは、そうそうありません)。

(2)選挙権はなくなりません。(3)仕事を辞める必要はありません。

但し、破産によって資格を失う仕事(司法書士、保険の外交員、警備員等)に就いている人は、辞めることとなりますが、免責を得れば復権します。家族も職場をクビになることもありません。

(4)破産をしたことを誰かに知られる。

確かに、官報には掲載されますが、官報を見る人はほとんどいませんので、破産したことを知人等に知れる危険性はほとんどありません(ほとんどの人が、「官報って何?」というのが実情でしょう)。

6、個人債務者再生

任意整理、特定調停と破産の中間のような手続きで、裁判所の認可を経て、元本カットにより最低弁済額(100万円~300万円)を分割弁済し残りを免責して貰うものです。但し、再生委員報酬等の裁判所への予納金(約25万円)が必要です。

住宅ローンのある個人債務者再生

「住宅ローンを抱えた債務者が、住宅を手放すことなく債務を整理することができる」というのが個人債務者再生の趣旨ですので、消費者金融等の借金のほかに住宅ローン(住宅に抵当権設定登記がされている)がある場合、個人債務者再生を原則として選択することとなります。

住宅ローン再生が使えない場合

住宅ローンがあれば全て住宅ローン再生が使えるかというと、法律上、そうはなっていません。例えば、住宅ローン以外の担保権設定登記がされている場合は、住宅ローン再生は使えません。従って、消費者金融の抵当権(根抵当権)設定登記がされている場合は、住宅ローン再生は使えません。

7、特定調停 
                                   
 平成12年に施行された「特定債務者等の調整の促進のための特定調停に関する法律」によってできた制度です。特定調停は、債権者1社ごとに申立てます。債権者が5社いれば、5回調停をしなければなりません。なので、債権者数が多いと、結構大変なことになります。

また、特定調停は簡易裁判所に申立てますが、申立てると調停委員が選ばれます。この調停委員が、債権者と債務者の間に入り、話し合い・互譲によって解決していきます。

特定調停でも、「利息の引き直し計算」を行って借金の額を確定し、それを約3-5年で分割弁済していくように調停を行っていきます。また、特定調停では将来利息はつけないのが一般的です。